現在、ワタリウム美術館ではフランス出身アーティストJRによる
『JR’s Picture Show 24 Frames Per Second 』が開催されています。
JRは、世界各地の弾圧や貧困、差別のもとで暮らす人々を撮影し、現地の人たちと共に
その巨大な写真を建物の壁面や通りに貼るアート活動をしていますが、今回は若者の暴動や移民をテーマとしたショート・フィルムが3作品と、関連作品が展示されています。
2005年パリ郊外で実際に起こった暴動事件をテーマに、ニューヨーク・シティ・バレエ団が制作したパフォーマンスをもとにした『Les Bosquets レボスケ』、1892年から1954年までアメリカへの移民の入り口だった「エリス島」を舞台に、移民として来たものの最後まで入国を受け入れられず、そのままこの島で幽霊となった男をロバート・デ・ニーロが演じた『Ellis エリス』、JRの女性のためのプレジェクト「女性たちはヒーロー(Women Are Heroes)」シリーズの最新作『Rivages リヴァージュ』の3作品です。どの作品もメッセージ性が強く、見終わってからそれぞれのテーマについて思いを巡らせます。
JRは言っています。
「アートは世界を変えます。
アートは直接的に物事を変えるわけではありませんが、ものの見方を変えます。
アートが変えるのは世界の見方です。
アートは比喩となります。
アートは物事を変えられないからこそ
意見を交換して議論する中立な立場を提供してくれるのです。」
今も世界中いたるところで勃発する暴動やテロ、なくならない貧困について、
JRのアート作品を通してその物事を捉えると、違った景色が見えてくるように感じます。
期間は今月29日まで。 (U)