9日間の中国お茶旅から帰ってまいりました。9月の中国南部はまだまだ暑く、37度を超える日も。湿度も高く、熱中症になりかけながらの旅となりました。
今回も美味しいお茶を求めてさまざまな土地を巡りましたが、旅も終盤に差しかかった頃、福建省の永定という場所を訪れました。ここで有名なのが、客家の人々が暮らしてきた「土楼」です。旅仲間が調べてくれた土楼を見学するため、朝から出発。
築300〜500年ほどという、円形や方形をした大きな建物が立ち並ぶ光景は圧巻でした。5階建てほどもある建物は、長い年月を経た今もそこにあり、地震にも強い構造だと聞いて驚きました。建物の中へ入ると、中央には石が敷かれた中庭のような空間が広がっています。そこから見上げる青空が、とてもきれいでした。土壁に囲まれた空間に差し込む空の青と、軒先に下がる提灯の赤。その色の組み合わせも、とても印象に残っています。

ひとつの建物の中で、たくさんの家族が一緒に暮らす。今の日本ではなかなか見かけなくなった暮らしですが、そこで穏やかに生活する人たちとすれ違っていると、こういう暮らしも素敵だなあと思いました。
入り口近くの涼しい風が吹き抜ける場所で休ませてもらっていると、自然と人が集まってきて、いつの間にか会話が始まります。しばらくすると、「畑に行ってくるね。ゆっくり休んでいって」と声をかけ、お母さんたちは土楼の周りにある畑へ。
案内してくださったガイドさんも実際にこの土地で暮らしている方だったので、観光客である私たちまで、ほんの少しだけこの場所の日常に混ぜてもらえたような気がしました。とても穏やかで、心に残る時間でした。
そして最後には、ガイドさんのお宅にもお邪魔させていただきました。そこでいただいたのは、この土地のお茶。いわゆるチャノキの葉から作られた紅茶のほか、野草や花を使った茶外茶、薬草茶などもありました。さらに出してくださったのが、お米から作られた「糯米酒」。梅酒を思わせるような甘さのある、きれいな朱色のお酒です。私はあまりお酒が強くないのですが、これがとても美味しくて。運転があるため飲めない仲間を目の前にしても、ちょぴっとだけと、試飲の手が止まりませんでした(笑)
紹興酒よりも飲みやすく、そのまま飲むのはもちろん、卵料理や鶏肉の煮込みなどにも使うそうです。別の客家の方からは、産後の女性がこれを使った料理を食べて身体を養うこともある、と教えていただきました。その土地で作られたものを、その土地の人たちに囲まれながらいただく。それは旅の中でも、とても贅沢な時間、体験だと感じます。美味しいお茶だけではなく、そこにある空気や日差し、水、食事、暮らしや風習まで。実際にその場所へ足を運ぶことで、お茶の向こう側にあるものまで少しずつ知ることができる。
だからまた、私はお茶を求めて旅に出たくなるのかもしれません。
日本へ戻り、お店のショーケースを眺めていた時のこと。あの糯米酒を思わせるような、こっくりとした朱色の石が目に留まりました。ヘソナイトガーネットです。蜂蜜やシナモンを思わせるような温かみのある色合いから、「シナモンストーン」と呼ばれることもある宝石。ヘソナイトには、内部に独特のうねりのような表情が見られるものがあります。とろりとした蜜を閉じ込めたようなその佇まいは、眺めているだけでも惹き込まれます。
旅先で出会った朱色と、ショーケースの中で再会したような気持ちになりました。写真だけでは伝わりきらない色や、石の内側に広がる独特の表情を、ぜひ店頭でお手に取ってご覧ください。 (K)


Marquis ring Hessonite Garnet / 2506-006
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